2012年6月18日月曜日

俺の目の前にそびえ立つ悪魔は、俺の心の淀みとは裏腹にするすると千円札を飲み込んで行く。もう40冊は飲み込んでいっただろうか、これだけの金をつぎ込んで、玉は100も残っていない。この生きるか死ぬかの戦争に、今夜も配線濃厚のようだ。あっという間に全ての玉は飲み込まれていき、俺は時間と4万円をドブに捨てた結果となった。パチンコ!!なんと恐ろしい遊戯なのだろうか。ギャンブルの中で最も手近で、それ故に最も金を使いやすい。20の時、まだ大学生であったのだが、始めて友人にパチンコに連れてこられて以来、月に一度が週に一度、だんだん増えていき、週に二度、週に三度、大学にいかなくなる、一日一回必ず行くようになって、気付いたら俺は大学も辞めて、二十代も半ばを過ぎて、アルバイトも辞め、無職のプー太になっていたのだった。初めは貯金を崩し崩しパチンコにつぎ込んでいったものの、やがてその貯金も無くなり、それでもパチンコはやめられない、消費者金融に金を借りたはいいが返せない。借金は日に日に増えていき、闇金からも借りなければならなくなり、それでもパチンコはやめられず、借金は二百万わ越え、今ついにもう最後の持ち金4万円をパチンコに吸い込まれた所なのである。もうどう頑張っても抜き差しならぬ。ふらふらと店を出る。

「もうどうにでもなりやがれ!!」


と、大声で叫べば腹が鳴った。家に帰ればカップラーメンが一つ残っているはずなので家に帰る。道を睨みつければどこかに吸い殻が落ちている、それを見つけて火を付けた。俺がこれからどうなるのか、それについてぼんやりと考えた。闇金への借金が払えない場合どうなるのであろうか、どこか外国の一日三食ちっぽけなご飯が出る底辺労働場のようなところで一生働かされるのであろうか、それとも殺されて臓器を売り飛ばされるのであろうか、はは、もうどうなっても今の生活を続けているくらいなら死んだ方がマシなような気もしないでもない。思えば普遍的な人生を送ってきたつもりだ。小学校、中学校、高校とそこそこ勉強もしたし、特に波風立てずに生活をしてきた。リーダー的存在に憧れる事もあったが、その度にいつも"そんな器じゃない"と自分に言い聞かせてきた。大学もその調子で行けばそこそこの会社に入り、そこそこの給料を貰い、そこそこの奥さんを貰い、そこそこの人生を送れたはずなのだ。どうしてこうなった。そんなことを考えているうち、家の前についた。見慣れない高級車が止まっている。なんとなく想像がついていたが、車からいかにもな坊主の男が出てきて俺の目の前に立った。180cmはありそうだ、見上げないと男の顔が見えない。

「広末彰だな、乗れ。」
「はい。」

諦めという麻薬が俺の恐怖を掻き消していた。





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