2012年8月28日火曜日

事実は小説よりも奇なり、といって、時に実際に起こった出来事のほうが小説の架空の話よりも珍妙不可思議である事がしばしばある。そして、人というのは少なくとも20、30年生きていれば一度くらいはそういった”事件”に出くわすことがある。私は小説家であるからか、といっても売れない小説書きであるが、人のその”一生に一度あるかないかのチン事件”を聞いて書き残し、収集するコレクターである。今回はその中でも一番新しい、そして解決に大いなる時間を要したものをご紹介したいと思う。

no.22

十月十二日

月 悪男 二十六歳 が葬式の最中に死亡した。全身殴打で、殺人である。
なんと出席者全員にリンチされるという無惨な形だった。
遺族はもちろん、葬儀の当人、また、被害者と面識のある人間、全員が罪を認めているのだが、皆口を揃えて

「あいつは死んで当然だ!」
「あんな奴だとは思わなかった!」

と言っていて、何をしたかというと、葬式の弔辞を読む際、当人をこの世のものとは思えない程汚い言葉で罵倒しまくり、お○こ、ど○ん、きち○い、か○ぺ等の放送禁止用語を連発し、靴を脱いだかと思えば棺桶の周りの花の上に立ちもら○泣きを歌ったり、また棺桶に登って裸でソーラン節を踊ったり、と悪行の限りを尽くしたのだという。
余程当人の事が嫌いであったのだろうか。それにしても死んでからそういう仕打ちをして自らが遺族や友人達に殺されてしまうとはなんとも非合理的な行動である。何か謎がありそうだ。

十月十七日


被害者の会社や近所に聴取を行った所、意外な答えが出てきた。会社での評判は”少し冴えないところもあるが真面目で勤勉な男”で、残業が長引いても何一つ文句も言わずに働くのだという。住んでいるアパートでは、家賃の振込みは遅れた試しがない上に、ゴミはしっかり分けて出す。おおよそ人に恨まれるという事からは程遠い人間であったという。ドラッグ、酒などで正常な判断が出来なかったという推理はどうやら違うらしい。ますます謎が深まった。


十月二十五日

何故そんな行動を起こしたのか。行動を起こした本人が死んでしまっては誰にも確かめようが無い。諦める他ないのか。


十一月八日

友人Aにこの話をした所、東北は青森、恐山にいるイタコが霊を呼び寄せる術を持っているという。
明日の朝から早速向かうことにする。そういえば締め切りが明日に迫っている。


十一月九日

AM5:00、友人Aの車で青森に向かう。AM10:00、担当からの鬼のような着信が着ていたが恐山に登って携帯の電波が無くなる。よかった。 AM12:00 寺に到着、雪が降っていてものものしい。


十一月十日

昨日の出来事を一気に纏める。
12時に我々は恐山の寺に到着した。昨日の手記にも書いた通り雪が降っていて重々しい雰囲気に包まれていた。寺の入り口から数百メートル歩いたところに、「一霊 三千円」との札が張ってあり、なんとなく信憑性を疑う。Aは
「うん、大丈夫、多分。」
と言っているからおそらくもしこのイタコの降霊術がインチキだった場合に発生する”自分が紹介してしまった”という責任を強く感じているのであろう。
イタコは八十歳程の婆様だった。
イタコに被害者の名前、年齢、住所を伝えると、何やらおもむろに唸りながら祈りだした。










2012年8月23日木曜日

愛の二人乗り

季節を外して仙台に行ったら、電車は

原宿、千万人の中のオアシス

「あの、決して否定的な意味で捉えないで欲しいの、ただ、貴方は私と話していて楽しいのかな、と時々思ってしまうのよ。私は、ほら喋れないから。」

久々に会った志摩子の投げかけは余りにも不意をついたもので、安カフェ俺の九州~大阪縦断小噺は一時中断せざるを得なくなった。不意をついたというよりかは、馬鹿々々しいと言ったほうがいいかもしれない。

「さっきからあなたばかり喋ってくれて、私はそれに対して何も返す事が出来なくて、ただ感心しているだけ。私はこれで楽しいのだけれど、あなたはどうなの?楽しいのだったらいいのだけれど。」

笑うと同時にため息が出る。毎日人と話す時にこんな事を考えていたら志摩ちゃんは疲れて死んじまうんじゃないだろうか。まあ、他人から見たら俺の数多くの心の葛藤達も相当にくだらない事に見えるに違いないのだけれど。

「別にこっちは喋っているだけで楽しいよ。志摩ちゃんが喋れないから、その見返りにセックスしてくれるっていうんだったら甘んじて受け取るけど。」
「そういう話じゃないわよ、馬鹿言わないで。」

先ほど頼んだ二人の飲み物は既に尽き果てていて、それぞれの灰皿にそれぞれの吸殻と灰だけが積もってゆく。
俺は進んでカフェという場所に行く事はない。その理由はまず第一に、酒が飲めない場所である、ということだ。近頃は、カフェ&バーといって昼はカフェ、夜はバー、という形態のお店も増えてきたが、その雰囲気は昼の明るさを引き摺っていて、酒を飲むそれでは無いように思える。
第二に、内装が酷く気取っていて、それでいて粗雑であるということ。いつだったか、家の近くの理髪店に散髪しに行ったところ、雑誌でお洒落なカフェ特集というものをやっていて、ぺらぺらと捲ってみたのだが、むやみやたらに上から物がぶら下っていたり、不気味に暗かったり光ったりと、ろくなものが無かったのを覚えている。
第三に、カフェに来る人々が嫌いなのだ。如何にも自分は”上”にいる人間ですという見栄を張った外見、不細工な顔立ち、女とセックスをするのがまるでステータスであるかのように常に女を捜し求めているような眼、そして聞こえてくる落書きのような会話達。彼等は皆誰かに評価される為に自分の人生を生きている。好みでは無く、周りの目の為に服を着て、”俺は何人とどういう変態セックスをした”と云う為にセックスをして、死ぬ瀬戸際まで”いい人生だったね”と言われる為に生きている。これは承認欲求という奴で、しばしば承認欲求は夢という言葉に化けて人生を狂わせる。本当にやりたいことが他所にあるのに、他人から評価されたいが為に別の事をし始めるのだ。そうすると大抵性に合わない事であったり、悩みを抱え始めたりして、最悪の場合自殺も考えるようになってくる。俺もフリーではあるが、今の文章、脚本を書くという仕事に落ち着くまで、このおぞましい感情に乗せられて様々な事をやったが、今となってやってよかったと思うものは何一つない。しいて言うなら、女の口説き方が身に染み付いたくらいだ。ただ、俺にとって話す事というのは、承認欲求を満たしてくれる上に自分の職業柄合っていることでこうなると”天職”と呼べるようになるのである。
まあ、なんだかんだ御託を並べてはみたものの、結局俺は志摩ちゃんに承認されたいのだ。


「まあ、久々に会って、なんか、良かったよ。すごく。」
志摩ちゃんがそう云うと、彼女のその相変わらずの真夏の牢獄の一滴のビールのような清々しさに俺は潤いを感じているのだった。周りはくだらない会話で窒息しそうなカフェ、休日の昼。そこで、志摩ちゃんが俺の為に作り出してくれる一人で喋り続けられる密室は、クーラーのきいた俺の部屋にも存在しないオアシスだ。

そのあとは志摩ちゃんとバイバイしたのだが、バイバイの時に彼女から仕向けてきたハイタッチのせいで、逆車線の電車に乗ろうとしてしまったのは間違いでもなんでもなく、その日の恋の仕業なのだ。






2012年6月17日日曜日

ヨッちゃんの好奇心

久々に会ったヨッちゃんは、女になっていた。
女というより、おかまという表現を使ったほうが正しいのだろうか、まあつまりはそういうことだ。バンコクあたりではレディボーイという名で、おかまが沢山いるのだという。
「あら、お久しぶりじゃない、コーちゃん。」
六本木の路地で突然名前を呼ばれたて振り返ると、おかまが手を振っていた。
「やだ、ごめんなさいね、私よ、私。吉野祥平。小学校で一緒でしょ??」
と言われてはじめて気が付いた。そのおかまはよく見れば確かに、六年二組で後ろの席だったヨッちゃんだったのだ。よく二人でいたずらをしては怒られていた、そのヨッちゃんだったのだ。


「いたずらはもうしないわよ、かわいい男の子にはいたずらしちゃうけどね、ふふっ。」
ヨッちゃんはアイスティーをストローから吸っていた。その仕草はなんだか妙に女らしくて、俺はかあっと顔が熱くなるのを感じてお冷やをぐっと飲み干した。
「そういえば、雑誌の仕事をやってるって聞いたけど。」
「あれはもうやめたわ、なんか飽きちゃって。今はセレクトショップのカリスマ店員よ。」
「っていうと、服屋さん?」
「やめてよそんな古臭い言い方、アパレルよ、ア・パ・レ・ル。わたし、今流行の最先端なの。」
「ああ、ヨッちゃん昔から飽きっぽかったもんな。」
ヨッちゃんはいつも新しいものを追い求めた。ビックリマンを最初に持っていたのはヨッちゃんで、皆がビックリマンを持ち始めた瞬間に遊戯王をちらつかせていた。そして皆が遊戯王を持ち始めた瞬間に、デュエルマスターズへと身変えしたのだった。その都度ヨッちゃんは

「だって、飽きちゃった。」
といってしれっとしているのだった。

ヨッちゃんは可愛いらしい顔付きで女の子にもモテるタイプだ(だった?)ろうから、もしかしたら女にも飽きちゃったのかもしれない。
「でね、取っちゃおうと思ってるのよ。」
「え、何を?」
「何って、決まってるじゃない、アソコよ。」
なんだかこの会話を早々にやめたくなってきて、用事があると嘘をついて帰った。家までの道で、俺はヨッちゃんとの小学校時代の数々の思い出を思い出していた。

「校門前のあのけやきの木を切ろう。」
ヨッちゃんはいつも突然作戦を思いついた。けやきの木は、のこぎりを二つ用意して朝のうちに汗を滝のように流しながら大木を切り倒した。一番壮絶だったいたずらは、池埋めだった。先に池から二匹の亀を水槽に救出しておいて、土や泥は深夜猫車で工事現場からひたすら運び込んだ。そして警備員が起きるまでのうちに池に土砂を流し込み、その上に水槽に花を生けておいた。次の日学校は休校になったが、俺たちの仕業と判明することはなかった。今、ヨッちゃんは自分の体に最大のいたずらをしようとしている。校門ならぬ、肛門の前にそびえ立つ大木を切り取ってしまおうとしているのだ。その日の俺はもう、全てを忘れたくてバーボンを一本空けてへべれけになったまま眠ったのだった。

それから半年後、ヨッちゃんにもう一度会った。ヨッちゃんは男に戻っていた。手術はしなかったらしい。それからヨッちゃんは初めての男とのセックス、女とのレズ(?)プレイについて語り出してまた嫌な汗が俺の体を包んだが、今度は安心して話を聞いていられた。それはきっとヨッちゃんの話し方が、小学生の頃のヨッちゃんに戻っていたからだろう。しかし何より俺が安心したのは、ヨッちゃんに男に戻った理由を聞いたときに帰ってきたこの言葉だろう。



「だって、飽きちゃった。」

好奇心旺盛なのも困ったものだ。



2012年6月8日金曜日

同棲している。デブの弟もいる。
デブはゲームばっかりしている
ちーちゃんの父親が社長らしき人。命を狙われているみたい。ビルの窓から飛び降りる。えぐい。
思わず抱きしめる。

テーゼでアルバイト ガエイにものを教えてると、昔のアルバイト、金髪でメガネをかけた美人。
「お願いします」
「ん?」
「いやおめーじゃねえよ呼んでねえし」
「あんた本当最悪だよねー」
「な、仲悪いんですね。」
何故中がわるかったのか?わからない
トルソーがきている服を見て
「わあっ素敵なライン!」
とかいっている。
俺が「オブジェですか?」とかいうけど無視される。
「ああ、服か。」
上がりの時間。小河さんに呼ばれるとどうも伝票に誤りがある。
ガエイを注意。
そういえば石黒賢みたいなサラリーマンがさっきからメニュー制覇しようとして頑張っている。
ビールの銘柄をきかれる。そんなビールはない。

銭湯にいく。大きな風呂桶が8200円ってどういうこっちゃ。そういえば親父といった。

近所に住んでる女の子姉妹はちょこちょこ男の子を変える。
ついぞ最近までイケメンと付き合っていたが、旅行鞄を持っているのを近所で見かける。
どうやら旅行の帰りらしく、金髪のロングモヒカンをうしろになでつけた不細工と
「旅行楽しかったねー、またいこうねー、」
と話している。彼女はあまり乗り気でない
ばいばいをしたあとその彼氏は
「あ!」
とかいってかけよりキスをする。ばいばいじゃあねーと走り去っていく。気持ち悪い。
女の子は俺を見ながら
「なんか文句あるの?」と言いたげである。
(そうだ、現実だとそうあの子はテーゼで一番可愛いあの子だ。)


伝次郎先生の生物化学 野菜、サラダ編
最初はテレビで見ていた。よくわからないスライムみたいなものができた。
親が「となりで授業やってるからいってこい」という。いく。ドアを開けるとスライムまみれになる。
小学生が多い。グループわけになると大学生ばっかだった。そういえばG組の生徒がけっこういた。
女の子姉妹もいた。どうやら日大らしい。この授業はインカレなのか。









図書館、豆粒ほどの虫と話す。
「つまりだ、お前の栄養を少しずつ俺にわけてくれればいいんだ。そうすれば俺はおおきくなれる。
俺は底が深いからな。」
目を見ていると底がない。気が狂いそうだ。いつの間にか俺が豆粒ほどで、虫は大きくなっていた。してやられた。





純一が裸足の理由

もう歩き続けて一週間が経つ、俺はいつまでこうして歩き続けていればいいのだろう、不思議と腹も減らずのども渇かないのだが、いったい俺は何故こうしてこの大草原を歩き続けているのか、そもそもどうやってここに迷い込んで来たのか検討も付かずにいた、と頭の中で解説を考えはじめたとき、草原が終わり川辺に出た。子供達が何やら石を積んでいるが、それを如何にも”私は渋谷で毎日を暮らしています”という風な若者達が崩して回っている。ああ非行少年、君たちは何故弱いもの苛めしか出来ないのだ。どうせやるならでかいこと、チームを率いて要人殺害とか、薬の売り買い、集団レイプ、そういったことをやればいいのではないか。近頃の若者は元気が無さ過ぎる。子供いじめなんてちっぽけなことで自分の悪さを再確認するなど愚の骨頂だ。目を合わせないようにその横をそそくさと通り過ぎる。川にはなにやら光を放つ魚が見える。鯉である。鯉であるのだが、紫や緑、黄色などの輝きを放っていて恐ろしく美しい。その美しい光景の真ん中に水面にうつった自分の顔が邪魔をしている。と、その額の真ん中になにやら穴があいているのを見て、やっと俺はすべてを思い出す事が出来た。そうだ、俺は死んだのだった。天皇を殺そうとして逆に、撃ち殺されて。つまりここは三途の川の橋の途中、先ほど石積みをしていた子供達も死人、それを壊していたのはつまり鬼である。それを考えた瞬間サーッと青ざめた。もし今俺の死体が下の世界にまだ存在しているとしたら、俺の顔は真っ青になっていることだろう。長年の謎が解けた。ああ、こんな世の中だったらもっと、女とか、酒とか、やっておけばよかったものが沢山ある。政治なんてものに興味を持ち学生運動のリーダーとして毎夜々々拳を振り上げ演説するならその口を女のひとりふたり口説くのにまわせば良かったのだ。俺は死んでいるのに死にたくなって川に身投げをした。それでこのザマなんだよ、ありとあらゆる女にもてたくてね。靴は揃えてきたかって?もちろん。だから、靴を履くときもくつしたは履いていないだろ?

2012年5月12日土曜日

金色のキャデラックと銀鋏

大したこだわりも持っていないが、髪の毛を切るときはヒロコに切ってもらうことにしている。APROは表参道にある有名な美容室で、そこに彼女の就職が決まった時俺は何故か誇らしい気持ちになったものだった。金がないので店には行けないが、俺は彼女の家に出向いて、バーテンダーという職業柄得意である夕飯、何杯かのカクテルを作ることで髪を切ってもらう対価を支払っていた。思えばヒロコは知り合った時から綺麗な髪をしていた。それでいて、引っ込み思案というかシャイというか、不格好な癖にぺらぺらと喋る俺とは正反対のタイプで、”内気”という俺がいくら望んでも取り戻す事が出来ないそれを持っている彼女が羨ましかった。

2012年3月30日金曜日

俺達は陽の光に厭われて

「だから、占いとか商売なんて、そんな事は抜きにしてあなたの血を飲んでみたいの、私たちの生まれ持つ欲望のままに。それがどんなに不健康で、ドロドロで美味しくないものだとしてもね。」

サリーはそう云うとグラスの中の”ブラッディ・メアリー”を一気に飲み干して、うっとりとした眼で俺の首筋を眺めた。

「しかし、君のその性癖は、”生まれ持つ”っていうような先天的なものじゃないだろ?それはア・ポスト。。なんちゃらだよ」

「ア・ポステリオリね、確かにそうよ、ヴァンパイアは誰もは昔人間で、もともといたヴァンパイアに血を吸われ、さらにそのヴァンパイアの血をわけ与えられることによってヴァンパイアになる、後天的なものよ。でもね」
サリーが前髪をかき分けると青白く、そして若々しく美しい顔が俺の眼に飛び込んできた。

「これでもずいぶん長く生きてきたから、人間だったころなんて忘れてきちゃった。たった18年の人間時代の後、120年ヴァンパイアなんだから、もう生まれもってる体質みたいに思えてきちゃうの。だから私は、ア・プリオリ、よ。」

「めちゃくちゃな論理だ。」


吸血鬼が増えだしたのはここ100年の間である、と、俺の小学校の教科書には書いてあった。
50人の学級だとしてそのうちの5人から6人はサキュバス、ヴァンパイア、種は違えど吸血鬼であって、性の衝動、つまり吸血鬼たちにとっては”吸血”欲が芽生える思春期の頃になると、吸血鬼と人間で教室を分けて保健の授業を行っていた。今は亡くなった親父が云っていたが、親父が三十歳のころに段々と吸血鬼関連の性風俗が増え始め、今となっては血を”吸いたい”吸血鬼の女性と、”吸われたい”男達で繁華街は毎夜賑わいを見せている。
正直昼の雑誌の仕事をしていた頃には吸血鬼の女がいる店、というコンセプトに少しも気を引かれなかった。
ところが、毎日々の繰り返しでノイローゼ状態になり、会社を辞めてバーテンダーへと成りかわってから、常連のチヨさんに”同業者なのだから一度行ってみて損はない”と連れられて32歳で初めてここ吸血鬼バーpori≠doli”ポリ、ドリ”に出会ったのだった。
ポリドリは朗らかなバーテンダーとちょっと変わった女達がウリで、店の看板には
”血も涙もあります”
と書いてある。
サリーと出会ったのはその日だ。彼女はポリドリの売れっ子バーテンで、血を吸ってその人の悩み事等を当てて見せる”占い吸血女”として人気なのであった。チヨさんが俺の事を指して
「こいつ、ヴァンパイア初めてらしいよ、吸ってあげて。」
というとチヨさんはもう他の吸血鬼の女の子たちのところへ行ってしまった。みんなでハイタッチしている。
あの人は音楽雑誌の編集長で、その職業的に例外無くロックと洒落と、あと酒と、女が大好きである。
チヨさんはバーに来て新人の俺を見るや否や

「カクテル作れっ!」
と怒鳴ってきた。どんなのがよろしいですか?と聞くと
「あほっ、そんなん聞くなっ!」
と怒鳴る。先輩のバーテンダーが、チヨさん、まだこいつこの仕事始めて二週間なんですよ、とフォローするが、結局チヨさんは俺に作らせるといって聞かず、最終的にチヨさんが俺にヒントを与えるというところまで先輩が助け舟を出してくれたのであった。

「そしたら、カクテルの名前は、ロックンロール!!」

非常に曖昧であるが、なんとなく目星は付けた。

「俺は、俺の頼んだもの以外には金は払わへんからなっ!」

という後付が非常に俺を焦燥に陥れたが、最終的に、ミストスタイルで、バーボンにシュガーシロップを少し加え、少量のミントと混ぜ合わせたものを作ったところチヨさんの評価は上々、65点であった。
チヨさんが確実に俺の客になったのは、その3週間後で、深夜3時頃へべれけになって店にやってきたチヨさんは、ひどく消沈しており、今にも死にそうな目をしていた。

「おい、何か幸せになれるようなカクテルを作ってくれ。」
と、ぼそっと呟いたままじっと机の上を見ている。先輩に任せようと思ったが、今日は月曜日、普段お客さんが入るような日ではなく、俺とアルバイトの女の子の二人で店を回していた。
一瞬、裏のほうに逃げ込みバイトの女の子に

「やばい、幸せになれるカクテルってなにがある?」

と質問したが、そこはやはり女性で、シャンパンと言い出したので話にならず、もう戻らないとチヨさんが怒り出すという時に

「これだ!」
と思い立ち急いでカウンターでカクテルを作った。

「チヨさん、元気無いですけど、僕の全身全霊を込めて”元気が出るカクテル”作りましたよ。いつものように何が入ってるか当てて、採点して下さい。」

チヨさんはそうっとグラスに口を付けると、みるみるうちに怪訝な顔になり、苦い顔になり、そして満面の笑みへと変わり、それはもう店の裏にまで聞こえるような声で

「あほかぁっ!こんなもんが飲めるかっ!」

と大声を出したもんだからバイトの女の子はびっくりして裏から出てきたが、そこには満開の笑顔のチヨさんと俺である。

「して、このカクテルは何点ですかっ!」
「100点に決まってるやないかっ!なんでもええからはよ別の出さんかいっこらっ!」

チヨさんは以後、この”元気が出るカクテル”を、ウォッカにポン酢醤油を垂らしたものだが、二度と頼む事は無かった。
チヨさんは元気になったのだ。そして、店の常連から、俺の常連になったのだった。



サリーは、それが決まり文句なのか

「私、血を吸うのじゃないのよ、記憶を吸うの。」

と自慢気な顔で笑った。

「どうやって家に帰ったかわからない日があるから、そこの記憶をおくれよ。」
「いじわるね、嫌いじゃないわ。」

サリーは手首に口をそっと近付け、俺の皮膚の中の血管を探すように歯を添わせる。ちくり、とした腕を痛みがゆっくりと這い上がっていく。絶頂に近い感覚が頭を襲い、ああ、これが女の”いく”か、と快楽に浸っていたところをサリーの嘔吐きが邪魔した。

「うえっ、どんだけ酒に溺れてるのよ、血がドロッドロもいいとこ、とんでもない呑ん兵衛ね。」
「その点に関して言えば、占いは合ってるよ。」
「占いじゃないわよ、これは。」

彼女は俺を少し睨みつけると俺の血を口の中で転がしながら味を見ていた。

「ソムリエみたいだね、そうしてると。」
「あら、いいこと云うのね、私、独立したら作るつもりなのよ、そういうソムリエ協会みたいなやつ。」

ワインみたいに保存もきかないし、人によって、血液型によって、味が変わったりするのだろうか、なんてことを聞こうかと思ったが心の中に留めておいた。

「今馬鹿にしてるでしょ、わかるのよ、この、あなたの一部で。」
サリーは少し舌を出して笑った。八重歯についた赤が淀んでいる。確かに俺の血液状態は良くないらしい。

「あとは、人に嫌われるのが怖いからって自分から嫌われに走るタイプね。仕事の”机”を挟んでしか人と接することが出来ないんじゃない?」

その日から、俺はポリドリの客に、サリーの客になった。


「で、もし君の意のままに、血を吸わせてあげたとしよう。そうしたら、君は俺を吸血鬼にしてくれるかい?」

煙草のけむりでサリーの肌はより白くぼやけて見えたが、それでもしっかりとした眼や鼻だちがそれを美しく魅せた。
それは駄目、とサリーは首を振った

「私は今あなたに恋をしているのよ、あなたの血で溺れたいほどにね。でもそれは、私がヴァンパイアで、あなたが人間だからなの。あなたの外見も内面も全て、自分が人間であるという状態に感じている劣等感が形作っているものなの。それが私を興奮させるの。あなたがヴァンパイアになってしまったら、私たちはただの友達になるわ。そして、今まで通りでなくなったあなたは血を求めて人間の女性に恋をする。もしそうなったら、そのひとを、あなたの言い方でいうと”吸血鬼”にしたいとは思わないでしょ?」
「俺たちは友達じゃあ駄目なのか」
「本当に性格が悪いのね。それにヴァンパイアだってそんなにいいものじゃないわ、自分とは違う質のものを人間は忌み嫌うのよ、人間原理主義、なんて言葉がまさか生まれるなんて誰か予想したかしら?結局人間からは嫌われる存在なのよ、それはあなたにとって心地よいひとりぼっちかもしれないけどね。でも私はあなたをそうはさせない。私と生きていけばいいわ。」

俺はマスターに赤ワインを頼んだ。ここのワインはBOOMBOOM、シラー種というブドウを使ったもので、血の味に近しい味がする、らしい。
このワインを作った人、チャールズスミスはどうも昔ロックスターだったらしいがそんな人は知らない。チヨさんに聞いてみよう。

「じゃあ、俺はこれで満足していればいいのかな。」
「そう、私はあなたの血で満足するの。それでいいの、あなたは一生その劣等感と戦い続けて、ぼろぼろになって、それがあなたの人生よ。でも大丈夫、私がそばにいてあげるわ。あなたが幾つになっても、私は奇麗よ。」

俺達の他に客は誰もいなかった。俺達はマスターに隠れて、こっそりとキスをした。
サリーはそのまま俺の首筋に牙をあてた。少し意識が遠のいていく感じ。
明日からの仕事は、毎日絆創膏でこの傷を隠して仕事をしなければならないだろう。それを見てお客さんは何を思うだろう。浅ましいと笑うのだろうか。
吸血鬼を愛した人間にも、吸血鬼に向けられる蔑みが、”人でなし”の侮蔑が与えられるのは当然かもしれない。どちらにしろ俺は陽の光を避けて生きていかなければならなくなった。

今日は十五日。外に出ればきっと月がまんまるで、奇麗に浮かんでいる、いい夜なのだろう。
月が、本当に奇麗だ。

2012年3月17日土曜日

いつも自殺未遂ばかりしている。未遂といっても、自宅で首吊りの途中発見され病院に担ぎ込まれて運悪く助かってしまったとか、いわゆるそういった格好のいいものではなく、自ら首を絞めて三分、途中で頓挫してしまうのであった。思えばいつもいつも中途半端、何かをやり遂げた事など一度もない俺が、しらふのままで自殺なんぞ大層なものを完遂出来る筈もない。まったく、せっかく親がつけてくれた達郎と云う”物事を成し遂げる、達成する”という名前の期待にこたえられず自殺すら遂げられない。変な話だが頭の中では”自殺出来ないままでは親に申し訳が立たない、なんとしてでもこの命だけは絶たねばならぬ”と考えて、今回は酒を浴びるように飲んだ挙句、風邪薬と酒を同時に服用すると”飛”べるというので薬瓶の中の風邪薬をまるまる飲み、ふらふらの状態で首吊りに及んだが酔った勢いで遂行前に祐希に電話してしまい”今すぐ来ないなら死んでやる”等とのたまった挙句息の根の止まる五秒前にかかってきた祐希の電話に出てなんとか思いとどまってしまったのである。
街に出れば誰もが俺を馬鹿にしている。俺はいわゆる”サトラレ”で、周りの奴は俺の心の中が見て取れるらしく、歩けば”心の腐った男が街を歩いている、何様のつもりだ、何様のつもりでその横断歩道の上を歩いているのだ、そこは白線ぞ、お前のような腹黒い男が歩いていい場所ではないのだ”と視線をなげかけてくる。

2012年3月1日木曜日

不埒な肩書き



白ワインを八杯程飲んだところで気がついた。俺は酔っている。顔が特別赤くなっている訳でも無いし、特に足元がふらつく訳でもないが、アルコールが体の中をゆっくりとまわり始めて、意識を保つのが非常に苦痛である。さらにカクテルを幾らか飲むことにしたが、その時にはもう”どうなってもかまわない”という思いでいっぱいで、俺はそのパーティをぶち壊す事にしたのだ。思えばなんとも非情な奴らで、忘れていたものをとってつけたように呼び出し、そして腫れものを見るかのような目で十数人にじろじろと見られたのではどうも生きた心地がしない。話をしていても彼らは穏便平和の世界の住人、あまりにもつまらない。よく”大学生の騒ぎ方は勢いにまかせていてつまらない”という人がいるけれども、大勢で飲んでいて”最近どうしてるの”なんて会話をする方が余計つまらない。おばはんか。井戸端会議のご近所さんか。騒ぎたいように騒いで何が悪い。生きたいように生きて何が悪い。酒を飲む以外に何がある。




「私、こんなこと云ったら変な人って思われるかもしれないんだけど、幽霊はいると思うの。だって見たことある。」

まずいことになったと俺たち三人は顔を見合わせた。間違いない。キチガイだ。元より六本木でクラブに行くような女というのはそもそも変な女ばかりだというのはわかっていたが、この女は、キチガイなんだ。そもそも卓也が悪かった。彼女と別れたから女と遊びたいと言い出して、よりによってそれをクラブに行くなんてことにしやがって。普通に街で適当にナンパでもすればいいのに、なんでわざわざ金を払ってそういういわゆる”集まってる”場所に行くのだろうか。クラブなんてものは、所謂”釣り堀”だ。釣れてナンボ、魚達は釣られる為にそこに集められているし、彼女達は釣られる為にそこに集まっている。釣り堀で釣りなんて、当たり前すぎてスリルがないと俺は思う。どうせなら砂浜、大海原、奇をてらってどぶなんかでザリガニを狙ってみてもいい、素潜りで雲丹が取れることだってあるかもしれない。街でのナンパのほうが絶対に面白いの思うのだけれど。それに、釣り堀なんかに閉じ込められ続けた魚は絶対に不味い。釣られ慣れてる魚もいるかもしれないし、あんなとこにずっといたら病気だって持ってるかもしれない。気も狂ってるかもしれない。そう、まさにこの女のように、。


「だって普通に一人のときおしゃべりもするし、変な事を云うようだけど幽霊とセックスもしてるの。」

ミカ、だっけ?ミカはそういうとバッグの中から煙草を取り出して火をつけた。卓也がこちらにぼそぼそとささやく。
(煙草吸わないって言ってなかったっけ。)
そうだ、彼女は間違いなくそう言っていた、煙草は吸わないと。
(おそらく)
俺も煙草が無いとこの空間をやっていけない。
(彼女は多重人格だ。)

ずっと黙っていた良平が
「千円だ。」
と千円を机に放り投げた。
「俺は5人いると思う。」
多重人格の数で賭けをしようというわけなのだ。俺と卓也は千円を放り投げた。
「3」
「7」
「いくねぇ」
「シャレになんねえよ」
ミカが”なになに、賭けごと?”と入ってきたが、男の勝負ということで黙っておいた。
 
 その後朝まで飲んだところ、考察結果は以下の通りである。まず、”第一の人格”非常に明るいノリのよい人格、卓也が声をかけた時の性格、彼女は自分のことをみーたんと呼ぶので便宜上この第一の人格を”みーたん”と呼ぶことにしよう。彼女は、後述する別の人格が出てきてからも度々俺達の前に姿を見せる時があって、トイレから帰ってくると俺達にいきなり一気をさせることが何度かあった。そして、”第二の人格”クラブから別の店に移ってきた時に、少し落ち着いていて、男の話を聞きたがり、自分の事を名前で”ミカ”と呼ぶ人格、”煙草は吸わない”と俺達に云った人格だ。

2012年1月22日日曜日

通り魔は火曜日にやってくる(She is Damn Blonde)

近頃渋谷原宿を中心とした通り魔殺人事件が頻繁に発生している。被害者はいずれも裏原宿系と呼ばれるファッション雑誌”フルーツ”に街のおしゃれさんとして掲載されたことのある女性で、特に金髪の女性が狙われる傾向にあった。かならず首を切られ、髪の毛をそぎ落とされているのであった。事件が拡大するにつれて原宿から金髪が徐々に減っていき、「原宿は死んだ」と云うものまで出てくる始末であった。俺は既に原宿のおしゃれ世界からは身を引いた人間だったが、どうしてもそれが気になるのは、一緒に暮らしているミカが依然として金髪ファッションを貫いていることだった。ミカはフルーツに”絶滅危惧種の金髪ガール”としてスナップされることが多くなったが、それは俺の心配を余計に強くするだけだった。バイト先である西麻布へ向かう途中、俺は原宿通りをすぎる。その度に俺はミカがいつ通り魔に殺されてしまうかと気が気でならないのだった。 

「そろそろそんな髪色やめたらどうだ、今に殺されちまうぜ。」 
俺がいくら云っても彼女はこう答えるだけだった。 
「あら、あなたが好きだっていうからこうしたのよ。」 

俺はある日見てしまった。バイトへ向かう途中、覆面をかぶって金髪の女性を包丁で襲っている犯人の姿を。その覆面は、俺がハロウィンの仮装で、ウォッチメンのロールシャッハに憧れて作った左右対称の覆面そのものであったのだ。 

ミカは俺に気付いて近付いて来た。彼女はこう云ったのだった。 
「これであなたの好きな金髪の女性は私一人、今後あなたが私を捨てようがどうしようが、金髪の女性は世界に私たった一人よ。」 
俺はミカを強く抱きしめた。それは恐怖からではなく、深い愛情からだった。

2012年1月17日火曜日

男が喧嘩をする理由

いざ原稿を前にすると、話というのは思いつかない。これは小説に限らず、なにかをいちから作っていく人間には大体共感できる現象である。腹が減っていざ街にくり出すも、何を食べたいのかいまいちわからず、三十分程どこの店に入るか迷ってしまうなんていう話もこれに同じものである。
「うーん、かきたいものは沢山あったはずなのに。」
俺が家で机の前で唸っていると、寝ていた拓馬が起きたのか起きていないのか、カキたいタレなら俺もいっぱいいるよとくだらないことを呻いた。
俺はそれを無視して台所に向かい、一杯の水を持って拓馬に声をかけた。
「拓馬さん起きた?」
「起きた起きた、俺血圧が高いからお目覚めは気分がよろしいんや。にしても昨日は飲みすぎたな。」
どうやら俺たちは昨晩飲んだ。あまりにも飲んだ。部屋はぐちゃぐちゃ、床は酒びたし、先ほど行った台所には包丁が刺さっていた。もしやと思って洗面台に向かい鏡を見ると、やはり、顔はカバのように腫れ、くちびるは切れ、血だらけの顔と胸元。ワンルーム9畳しかない俺の部屋でいったい何が起こったのか甚だ疑問に思う。いそいで拓馬のところに戻った。

「おい、拓馬、おい。」
「なんじゃ」
「これやったのお前か?」
拓馬は体ごとこっちを向くと、ギョっとした顔に変わった。

「俺じゃ…ないけど、お前、それ、ひどいな…。」
「お前じゃなかったらやったん誰や。昨日ここに俺ら以外誰かおったか?」
「わからへん、わからへんけどお前、その顔じゃお前一か月ソープ通いや…もてない絶対もてない。」
「俺…この五秒間ずっと黙ってたことがあんねんけどな…」
「なんや」
「お前も一か月ソープ通わなあかんわ。」
「なにっ!」
拓馬はがばりと起きて鏡のもとへ走る。
「うわっ!血まみれのカバや!」
それからきっかり一分間。二人であほのように笑い転げると、示し合わせたように俺たちはもう一度殴り合いを始めた。理由を思い出したからである。たしかに昨日は俺たち以外の人間が、女が二人いた。トモエとリッちゃんだ。俺はトモエが好みで、拓馬はリッちゃんが好みだった。酒も入り、そこにあったルルも混ぜて酒を飲み始め、だいぶん具合がよくなってきて、そういう雰囲気になってきた。ところがトモエは拓馬が好みで、リッちゃんは俺が好みだったらしくそれぞれの好みに従ってアプローチをかけてきた。俺たちは互いに抱える希望をもてあましたままキスに入り、もてあましたまま、愛撫に入ったのだった。問題はここで起きた。いざ挿入というところで、俺たちは自分の好みの女が友人に犯されるという事実に我慢ができなくなり殴りあいを始めたのだ。大の大人二人が怒張した股間をゆらゆらと揺らしながら大真面目に、怒鳴りながら殴り合いをしている絵はしらふであればさぞ面白かったに違いないが、あいにくと皆酔っていたので、おそらく女の子はそれを見て恐ろしくなり二人が力尽きて倒れたところを音を立てないように着替え、逃げ出したのであろう。
 やがて俺達は力尽きて殴り合いをやめた。最初に口を開いたのは拓馬だった。

「俺、今考えてみたんだけどな、女の子あの酔っ払い加減やったら、一回いれてそのあと乱交にもっていったほうが合理的やったんと違うかな…。」

俺たちは五秒黙った。間違いなくそれは五秒だった。そして同時に口を開いて

「あ~!!」

その後俺達はトモエとリッちゃんに謝りのメールを送ったが、その後彼女たちからメールが返ってくることは無かった。